■ 平成14年度1社1技術選定企業を訪ねて(4)
群馬県内の製造業の技術力強化を目指して平成12年に実施された1社1技術コンペも今年で最後になりました。平成14年度の選定企業、伊勢崎市の“(有)渡辺アートブロー”さんを訪ね、その技術と開発に至る経緯をお聞きしました。
伊勢崎市 (有)渡辺アートブロー 社屋 
 ■伊勢崎市長沼町の(有)渡辺アートブロー■

(有)渡辺アートブローは、昭和40年創業。樹脂の中空成形に携わり今日に至っています。
伊勢崎市 (有)渡辺アートブロー 社長 渡辺氏
代表取締役の
渡辺 辰巳さん

(有)渡辺アートブローは、今年度の「1社1技術コンペ」に応募し、“3D中空成形技術”で平成14年度選定企業に選ばれました。社長の渡辺 辰巳さんにお話をうかがいました。「その昔は農業をやっていたんですよ。自分で値段を付けられず不満でしたね。そこで農業とはまったく違う工業“中空成形”をやろうと思った。」と渡辺社長。では、昔からある“中空成形技術”とどう違うのかを、みなさんと検証しましょう。

           
 ■農業から一転、一週間で工業へ■
 渡辺アートブローは、昭和40年創業以来、樹脂の中空形成を手がけてきた。その前は農業をやっていなんだよ。と、渡辺社長。何故、農業から工業へ一転したのか、昭和40年、日本経済の成長期、樹脂で出来た製品が世の中に出回りだした。その昔は、魚屋で魚を買うと新聞紙に包むのが当たり前だった。それがなんとビニール袋に取って代わった。渡辺社長は「これからは、これだ!」と思ったという。これなら自分で作ったものを自分の好きな値段で売れると思ったのだ。「これだ!」とおもった渡辺社長はすぐさま加工機械を購入、先輩の工場に見習いに行った。ただし、見習期間一週間。後は、若さゆえの情熱と体力で寝ずに頑張ってきた。
 ●やれば出来るを本当に実行した
 「一週間の見習では、なにもわかりませんでしたよ。」と渡辺社長。しかし、渡辺社長は怖いもの知らずだった。そして、努力の日々が続いた。打ち込んでいる時は、寝るのすら忘れていたという。
 「なんでこうなるんだ!と、悩みぬいたことの一つ一つが今の技術になっているんだ。」と語ってくれました。

 
●樹脂の“中空成形技術”とは!!
 樹脂の“中空成形技術”とは、型に入れた樹脂に空気を送り膨らませておもい通りの形の製品を作る技術のことである。ガラスの加工技術で熱したガラスに口で吹いて膨らませてガラス花瓶などを作るのと同じような方法である。現在では一般に使われている加工技術の一つなのだが、では、何故、渡辺アートブローがこの“中空成形技術”で1社1技術コンペ選定企業に選ばれたのでしょうか。
 ●培った技術の集大成
 
渡辺アートブローの技術は一言でいうと“3D中空成形技術”ともいうべきものなのである。右下の写真をご覧いただきたい。前のビンとぎざぎざのチューブこれは現在の一般的な“中空成形”で作られる製品なのだが、(ちなみに前方左はチューブと呼ばれる材料である。そのチューブを加工すると右の製品になる。)そして、今までに培った技術の集大成と呼ぶべき“3D中空成形技術”で作ったものが右下写真後方の口が5つある容器なのである。医療用で使用されるこの容器は口の大きさ、間隔もそれぞれちがい、中は複雑にいりくんでいる。まだまだ、丸秘の部分があるのではっきりとはお見せできないが、この容器こそが作れそうで作れなかった“3D中空成形技術”で作られた製品なのである。
伊勢崎市 (有)渡辺アートブロー 製品

“中空成形技術”で作られた複雑な部品
   
伊勢崎市 (有)渡辺アートブロー 製品
こんな複雑なものまで作れてしまう!!
 ■今も湧き上がる技術者魂■
 「ブロー(中空成形)の世界で人がやらない、やれないものにいつまでも挑戦していきたいですね。」と渡辺社長。
 現代は、いわば“オールプラスチック”時代である。この時代を一人の技術者として築いてきたと渡辺社長は自負している。そこには、時代とともに歩んできた技術者の誇りをも感じる。プラスチック製品も時代とともに移り変わってきて、水に溶ける樹脂、土に返る樹脂なども手がけてきた。ただ、いいものを作っても普及しないと売れないという。渡辺社長の技術への追求は止むことがない。
 「その他の成形はロボット化、自動化が容易い。しかし、ブロー成形は自動化が難しい。だけど離れられないんだ。ブローは経験と勘、閃きが活かされる世界だ。技術者としていつまで続くかわからないが、難しいもの人のやらないものをやっていきたい。」と渡辺社長は熱く語った。
 今後の渡辺アートブローさんの活躍と、樹脂成形の技術“3D中空成形技術”に期待します。
 今年で最後の「1社1技術コンペ」、MyTownでは、今後も”ものづくり立県ぐんま”、伊勢崎の”1社1技術コンペ”参加企業を紹介していきます。




◆1社1技術に関するバックナンバー◆

取材日 平成14年12月13日 角谷

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